
「FAQやHowToのリッチリザルトが廃止されたなら、もう構造化データを入れる意味はないのでは?」——AI検索を意識して情報発信を見直している中小企業や個人事業主の方から、こうした疑問をよく聞くようになりました。
検索結果に星マークやアコーディオンが出なくなったことで、構造化データそのものへの投資をためらう気持ちはよく分かります。
結論から言うと、リッチリザルト(検索結果の装飾表示)が消えたスキーマがある一方で、AIが「この情報は誰が書き、どこが出典で、何について書かれているか」を判断する手がかりとして残り続けるスキーマがあります。
装飾のための構造化データと、AIに正しく理解されるための構造化データは、もはや別物として考える時代に入りました。
この記事では、FAQ/HowToのリッチリザルト廃止という事実を正確に押さえたうえで、廃止後も実装する価値が高い4つのスキーマと、その優先順位、よくある誤解を整理します。
読み終えるころには、限られた予算と時間をどの構造化データに振り向けるべきかが判断できるはずです。
- FAQリッチリザルトは2026年5月7日に検索結果での表示が終了し、HowToは2023年9月にリッチリザルトが廃止された事実がわかる
- 廃止後もAIの情報源判断に効くスキーマはArticle・Organization・Person・Productの4つに絞れる
- Ahrefsが2026年5月に公開した1,885ページの調査で、スキーマ追加だけではAI引用は伸びない傾向が示された
- 中小企業はOrganizationとArticleの2つから着手するのが現実的な優先順位だとわかる

執筆者|高橋 丈太郎
株式会社SORAQ|代表取締役
株式会社SORAQ代表取締役。「成果につながるホームページ制作」をテーマに、中小企業のホームページ制作とWeb集客を数多く支援してきました。
「ホームページ制作担当」では、制作現場で培った経験をもとに、中小企業の経営者・ご担当者がそのまま実践できるホームページ制作とWeb集客のノウハウを、わかりやすく執筆しています。
(詳しくは代表挨拶をご覧ください)
FAQやHowToの構造化データはもう入れる意味がないの?
検索結果の装飾としては意味を失いましたが、ページ内容をAIや検索エンジンに伝えるマークアップ自体は残してよく、害もありません。
まず事実関係を正確に押さえます。
GoogleはHowTo(手順)のリッチリザルトを2023年に廃止し、2023年8月にモバイルでの表示を取りやめたあと、9月13日時点でデスクトップでも表示されなくなりました。
FAQ(よくある質問)のリッチリザルトは、2023年8月以降「政府系・医療系などの権威あるサイト」に限定して表示される運用となり、2026年5月7日には検索結果での表示自体が終了。
同年5月にはGoogle検索セントラルの公式ドキュメントでもFAQの扱いが大きく見直されました。
つまり、FAQPageやHowToのマークアップを入れても、検索結果に専用の装飾が出ることはもうありません。
ただしGoogleはマークアップの削除を求めておらず、残しても問題が起きるという案内もしていません(=実質的にペナルティの対象ではありません)。
残すこと自体はリスクではなく、あくまで「見た目の特典が消えた」というのが正確な理解です。
- 「廃止された=ペナルティになる」ではありません。残しても害はなく、急いで削除する必要はありません
- FAQ/HowToを残す/外すの判断より、後述する4スキーマの整備のほうが優先度は高いです
- 「FAQを書く」こと自体は引き続き有効です。装飾が消えただけで、質問形式のコンテンツがAIに拾われる価値は変わりません
出典:Google検索セントラル「FAQPage 構造化データ」、Google検索セントラル HowToリッチリザルト廃止のアナウンス(2023年9月)

AI検索時代に構造化データはまだ効くの?
装飾目的では役割が縮小しましたが、AIが情報源を見分ける「身元証明」としての構造化データの価値はむしろ高まっています。
構造化データ(JSON-LDなどでページの意味を機械可読に記述する仕組み)は、本来「検索結果を装飾するため」ではなく「ページの意味を機械に正しく伝えるため」のものです。
AI検索(ChatGPT・Gemini・Perplexity・GoogleのAI Overviewsなど)が普及した今、この本来の役割が再評価されています。
AIは膨大な情報の中から「誰が書いたのか」「どの組織が出典か」「何について書かれたページか」を判断して引用元を選びます。構造化データはこの判断を補助するシグナルになり得ると考えられます。
ただし後述のAhrefs調査のとおり、引用増加への因果まで確認されているわけではありません。
検索結果の見た目に出るかどうかとは別の軸で、機械が内容を解釈する手がかりとして残り続ける可能性がある、という位置づけです。
ここで重要なデータがあります。
Ahrefsが2026年5月11日に公開した調査(1,885ページにスキーマを追加し、約4,000の対照ページと比較)では、スキーマを追加しただけではAI引用は明確には増えなかったと報告されています。
AI Overviewsは統計的に有意な4.6%減でしたが絶対値は小さく実務上の影響は限定的で、AI ModeとChatGPTはわずかな増加だったものの統計的にはゼロと区別できない結果でした。
ただしこの調査には前提があります。
対象は「すでにAIに大量に引用されているページ(2025年2月時点で100回以上のAI Overviews引用)」に限定されており、Ahrefs自身が「まだAIに引用されていないページが、クロール・解析・インデックスされる入口として構造化データが役立つ可能性は否定できない」と注記しています。
構造化データは「すでに評価されているコンテンツの引用を上乗せする魔法」ではなく、「これから評価されるための土台・身元証明」と捉えるのが実態に近い解釈です。
出典:Ahrefs「We Tracked 1,885 Pages Adding Schema. AI Citations Barely Moved.」(2026年5月11日公開)
FAQ廃止後も効く構造化データのスキーマ4選とは?
廃止後も実装価値が高いのは、ページの内容と発信主体を説明するArticle・Organization・Person・Productの4つに集約されます。
FAQ/HowToのような「特定の表示装飾を引き出すためのスキーマ」と違い、以下の4つは「コンテンツが何で、誰が出しているか」を説明する基礎スキーマです。
Googleもこれらを2026年時点で継続サポートしており、AIの情報源判断に効くシグナルとして優先度が高い領域です。
| スキーマ | 何を伝えるか | 主な用途 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| Article | 記事の著者・公開日・トピック・対象読者 | コラム・ブログ・お役立ち記事 | オウンドメディアを運営する全事業者 |
| Organization | 会社名・ロゴ・所在・SNS等の運営主体 | サイト全体・運営会社情報 | 法人・店舗・チームで運営する事業者 |
| Person | 著者個人の経歴・専門性・実績 | 監修者・著者プロフィール | 個人事業主・専門家・士業 |
| Product | 商品/サービス名・価格・提供内容 | 料金プラン・商品ページ | 商品やプランを明示できる事業者 |
Article:記事の素性をAIに伝える
Articleスキーマは「誰が・いつ・何について書いたか」をAIに伝えます。
著者(author)、公開日(datePublished)、見出し(headline)を明示することで、AIが記事の種類・主題・対象読者を把握しやすくなります。
オウンドメディアを持つなら最初に整えたいスキーマです。
専門用語ですが、BlogPostingやNewsArticleもArticleの一種です。
Organization:運営主体の身元を確立する
Organizationスキーマは、サイトの運営主体(会社・店舗)を機械可読に宣言します。
社名、ロゴ、所在地に加え、sameAsプロパティ(公式SNSや外部プロフィールへのリンクを列挙する項目)で、自社の情報を外部の権威ある情報源と紐づけられます。
AIが「この発信者は何者か」を複数の情報源から照合し、エンティティ(実体)として認識する助けになります。
Person:著者の専門性を裏づける
Personスキーマは著者個人の経歴・専門性を伝えます。
個人事業主や士業、専門家が運営するサイトでは、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を機械に伝える要として機能します。
監修者・著者プロフィールページと組み合わせると効果的です。
Product:提供サービスを明確にする
Productスキーマは商品・サービスの名称や提供内容を構造化します。
料金プランや商品ラインナップが明確な事業者は、AIに「何を、いくらで提供しているか」を正確に伝えられます。
担当・髙橋担当の髙橋です。
4つ全部を一度に完璧にやる必要はありません。
中小企業のお客様には「まずサイト全体にOrganization、記事にArticle」の2点だけ先に入れて、運用しながら広げることをおすすめしています。
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構造化データはどの形式・どの順番で実装すればいい?
形式はJSON-LDが最適で、中小企業はOrganization→Article→Person/Productの順に着手するのが現実的です。
構造化データの記述形式には複数ありますが、2026年時点ではJSON-LD(HTMLとは分離してscriptタグ内に記述する方式)が推奨です。
HTMLと混ざらず保守しやすく、ChatGPT・Perplexity・GoogleのAI処理系からの解釈も安定しやすい形式です。
優先順位は、影響範囲の広さと実装コストのバランスで決めます。
- Organization:サイト全体に1回入れれば全ページの運営主体が明確になる。費用対効果が高い
- Article:記事を出すたびに付与。オウンドメディアの記事を量産するなら必須
- Person:監修者・著者がいるなら追加。士業・専門家サイトは優先度が上がる
- Product:料金プランや商品が明確なら追加
実装後は、Googleの「リッチリザルトテスト」やSchema.orgのバリデータで構文エラーがないかを必ず確認します。
なお、FAQのリッチリザルト関連レポートやテスト対応は2026年6月に終了予定のため、FAQの検証可否は当てにしない前提で進めるのが安全です。
弊社が制作・支援したコーポレートサイトやオウンドメディアでも、構造化データはOrganizationとArticleを基本セットとして実装しています(当社調べ/2026年時点)。
実装事例の傾向は制作実績でご覧いただけます。
構造化データ単体で順位や引用が跳ねるわけではなく、後述の中身づくりとセットで初めて効いてくる、という前提を共有したうえで導入を進めています。
AI検索全体の考え方を体系的に押さえたい方は、AI検索(LLMO/GEO/AIO)対策の全体像をまとめた解説もあわせてご覧ください。
構造化データを入れればAIに引用されるの?
構造化データは土台であって、引用を決めるのはあくまで中身の質と信頼性です。
両輪で考える必要があります。
ここはよくある誤解なので明確にしておきます。
前述のAhrefs調査が示したのは、「すでに評価されているページにスキーマを足しても、引用がそれだけで増えるわけではない」という事実でした。
構造化データは「機械に内容を理解させる入口」であって、中身の薄いページを引用に値するページに変えるものではありません。
AIに引用されるための本質は、検索エンジン最適化の基本と地続きです。
一次情報・具体的な数値・明確な結論・著者の専門性といった「人間にとって価値が高い要素」が、引用される確率を左右します。
構造化データはその価値を機械に正確に伝える役割を担うにすぎません。
順番としては、(1)引用に値する中身をつくる→(2)構造化データで素性を正しく伝える、という流れが現実的です。
逆にすると、空の器にラベルだけ貼ることになります。
基礎を固めたい方はホームページのSEO対策の基礎知識で土台を確認してください。
構造化データは「やれば必ず引用される保証」ではありません。
やらないと機械が内容を読み違えるリスクを減らす、守りの施策と捉えると判断を誤りません。
予算・リスクに合わせた依頼先の選び方
構造化データの実装は、自社で対応するか制作会社に任せるかで負担が変わります。
判断に迷う方向けに、弊社プランの考え方を中立に整理します(読み飛ばしていただいて構いません)。
- ベーシック:まずサイトを持ちたい、最低限の構造化データを整えたい方向け
- スタンダード:オウンドメディア運用を見据え、ArticleやOrganizationを継続的に整備したい方向け
- ハイグレード:複数スキーマの設計や独自要件まで作り込みたい方向け
- 成果報酬型:初期費用のリスクを抑えて成果ベースで進めたい方向け
どのプランが合うか分からない場合は、現状のサイトを拝見したうえで提案します。
まずはお問い合わせからお気軽にご相談ください。
まとめ:FAQ廃止後の構造化データの考え方
- FAQリッチリザルトは2026年5月7日に表示終了、HowToは2023年9月にリッチリザルトが廃止。マークアップを残すこと自体は害はない
- 廃止後も効くのはArticle・Organization・Person・Productの4スキーマ。ページ内容と発信主体を機械に伝える基礎が残る
- 形式はJSON-LDが最適。中小企業はOrganization→Articleの2点から着手するのが現実的
- Ahrefsの2026年調査では、スキーマ追加だけでAI引用は増えない傾向。構造化データは土台であり中身の質とセットで効く
- 「引用に値する中身づくり→構造化データで素性を伝える」の順番を守ることが、AI検索時代の現実的な進め方
構造化データとAI検索に関するよくある質問
- FAQの構造化データは今すぐ削除すべきですか?
-
削除は必須ではありません。
残してもペナルティはなく害もないため、優先度の高いOrganizationやArticleの整備を先に進めて問題ありません。 - 構造化データを入れればAI検索で引用されますか?
-
入れるだけで引用される保証はありません。
引用は中身の質と信頼性で決まり、構造化データはその内容を機械に正確に伝える土台の役割です。 - 中小企業はどのスキーマから始めればいいですか?
-
まずサイト全体にOrganization、各記事にArticleの2つから始めるのが現実的です。
費用対効果が高く、運用しながら段階的に広げられます。 - 構造化データはどの記述形式が推奨ですか?
-
2026年時点ではJSON-LDが推奨です。
HTMLと分離して保守しやすく、Googleや各AI処理系からの解釈も安定しやすいためです。
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監修者|川人 大展
株式会社SORAQ|Webディレクター・SEOコンサルタント
ホームページ制作会社のWebディレクター・SEOコンサルタントとして、
中小企業のホームページ制作とSEO対策・Web集客の支援に従事。
「ホームページ制作担当」では、ホームページ制作やSEO対策、Web集客に関する記事を専門的な観点から監修し、最新の検索エンジン動向とWebマーケティングの実務を踏まえた、正確で信頼できる情報発信を支えています。
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