ホームページは減価償却が必要?経費か資産かの境目と耐用年数をやさしく解説

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「ホームページの制作費って、減価償却しないといけないの?」
——数十万円から、ときに百万円を超える支出だからこそ、決算や確定申告の前にこの疑問にぶつかる経営者・個人事業主の方は少なくありません。
一括でその年の経費にできるのか、それとも資産として何年かに分けて落とすのか。
判断を誤ると、その年の利益も税額も変わってきます。

結論から先にお伝えすると、一般的な会社案内やPR目的のホームページの制作費は、原則として支出した年の経費として扱えると考えられています。
ただし、EC(ネットショップ)の決済機能や会員ログイン機能など「プログラム(機能)」を含むサイトは、その部分が資産計上=減価償却の対象になりうる、というのが従来からの一般的な考え方です。

本記事では、どんなときに経費でよく、どんなときに減価償却になるのか、その境目と耐用年数の考え方を、発注者の目線でやさしく整理します。
なお、税務の最終判断は内容・金額・事案ごとに分かれます。
本記事は判断材料としてお使いいただき、実際の処理は必ず税理士や所轄の税務署にご確認ください。

この記事でわかること
  • 一般的なPR・会社案内サイトの制作費は原則「支出時の経費」で処理できると考えられている
  • EC・会員機能などのプログラム部分はソフトウェアとして資産計上となりうる
  • ソフトウェアの耐用年数は原則5年(複写販売の原本・研究開発用は3年)
  • 税制は年度で変わり、根拠だった公式Q&Aも削除済み。最終判断は税理士に確認が鉄則

本記事の執筆者
ホームページ制作担当の執筆者・高橋丈太郎|中小企業のホームページ制作とWeb集客を支援する代表取締役

執筆者|高橋 丈太郎

株式会社SORAQ|代表取締役

株式会社SORAQ代表取締役。「成果につながるホームページ制作」をテーマに、中小企業のホームページ制作とWeb集客を数多く支援してきました。

「ホームページ制作担当」では、制作現場で培った経験をもとに、中小企業の経営者・ご担当者がそのまま実践できるホームページ制作とWeb集客のノウハウを、わかりやすく執筆しています。
(詳しくは代表挨拶をご覧ください)

目次

ホームページは減価償却が必要?(結論:原則は経費、機能部分は例外)

結論から言うと、一般的なホームページの制作費は「原則として支出した年の経費」、ただしプログラム(機能)を含む部分は「資産計上=減価償却」になりうる、というのが従来からの一般的な扱いです。

まずは全体像を、ひとつの表で押さえてしまいましょう。
自社のサイトがどちらに当てはまりそうか、ざっくりイメージしてみてください。

サイトのタイプ一般的な税務上の扱い
会社案内・サービス紹介などPR目的(更新頻度が高い)原則、支出時の経費(実務上は広告宣伝費など)
更新されないまま1年を超えて使い続けるサイト使用期間に応じて費用配分(償却)する考え方
EC・決済・会員ログイン等の機能を持つ部分ソフトウェア(無形固定資産)として資産計上・減価償却

※あくまで一般的な考え方の整理です。
実際の判定は内容・金額・事案により異なります。

ポイントは、「見た目を伝えるだけのページ」か「動いて仕事をする機能」かで扱いが分かれる、という点です。
ここを押さえておくと、このあとの話がぐっとわかりやすくなります。

担当・髙橋

税務上のイメージは「チラシ」と「設備」の違いに近いです。
会社案内サイトは、配って役目を終えるチラシのような“その都度の費用”。
一方、ネットショップの決済システムは、何年も使う機械や設備のような“資産”。
だから前者はその年の経費、後者は数年かけて少しずつ費用にしていく、と考えると腑に落ちます。

なお、「経費にする/資産にする」という勘定科目そのものの仕訳は、ホームページ制作費の勘定科目で具体的に整理しています。
本記事は「減価償却が要るのか・耐用年数は何年か」に絞ってお話しします。

一括で経費にできるのはどんなホームページ?

結論として、会社案内や新製品PRのような「内容を頻繁に更新する一般的なホームページ」の制作費は、原則その支出した年の経費(損金)にできる、と考えられています。

これは、国税庁が過去に公表していたホームページ制作費に関するQ&A(旧タックスアンサー)で示されていた考え方です。
要旨は、ホームページはPRのために作られ内容が頻繁に更新されるため、制作費の支出の効果が1年以上には及ばないと考えられる、というもの。
だから原則として、その支出時の損金として取り扱うのが相当、とされていました。

つまり、多くの中小企業・個人事業主が作る「会社の顔」としてのコーポレートサイトは、難しく考えずその年の経費(実務上は広告宣伝費など)で処理できるのが基本線、ということです。

ただし、ここには見落としやすい例外があります。

担当・髙橋

旧Q&Aには「ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合には、その制作費用はその使用期間に応じて償却します」という一文がありました。作りっぱなしで何年も放置するサイトは、効果が1年超に及ぶとみなされ、期間に応じて費用配分する、という考え方です。
とはいえ実務で「更新しないサイト」をきっちり線引きするのは難しく、ここも判断が分かれやすい部分です。

要するに、経費(一括)になるかどうかの分かれ目は「短期で効果が終わるか/長く効果が続くか」。
一般的なPRサイトは前者、という整理になります。

資産計上=減価償却になるのはどんなとき?耐用年数は何年?

結論として、ホームページの中に「プログラム(機能)」が含まれる場合、その機能部分はソフトウェア(無形固定資産)として資産計上し、減価償却の対象になりうる、というのが従来からの一般的な扱いです。

ここが、本記事でいちばん大切なところです。

プログラム(機能)を含む部分はソフトウェア扱いになりうる

旧Q&Aでも、制作費の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるホームページについては、そのプログラム作成費用に相当する金額は無形減価償却資産(ソフトウェア)として扱う、とされていました。

ここでいう「機能」とは、たとえば次のようなものです。
単なる紹介ページとは切り分けて考える必要があります。

機能の例イメージ
カート・決済機能(ECサイト)商品を選んで購入・支払いまで完結する
商品データベース連動・在庫更新在庫数や商品情報が自動で表示・更新される
会員登録・ログイン機能ユーザーがアカウントを作ってログインする
検索・自動応答(チャットボット)などサイト上でプログラムが動いて応答する

※どこまでを「機能(ソフトウェア)部分」とみなすかは、見積書の内訳や開発内容によって判断が分かれます。

逆に言えば、こうした機能を持たないただの紹介ページ部分は、ソフトウェアには当たらないのが一般的です。
同じ1つのサイトでも「紹介ページ部分=経費」「機能部分=資産」と分かれることがある、というのが実務の難しさです。

ソフトウェアの耐用年数は原則「5年」

機能部分をソフトウェアとして資産計上した場合、何年かけて費用にするか——これが耐用年数です。
国税庁の現行タックスアンサー(No.5461)では、ソフトウェアの耐用年数は次のように定められています。

ソフトウェアの種類耐用年数
複写して販売するための原本・研究開発用3年
その他のソフトウェア5年

出典:国税庁タックスアンサー No.5461「ソフトウエアの取得価額と耐用年数」

一般公開・宣伝用のホームページの機能部分は、通常「その他=5年」に該当すると考えられます。
つまり、ECの決済システムなどに相当する制作費は、5年かけて減価償却していくのが一般的な目安です。
なお、ソフトウェアの取得価額には本体価格だけでなく、設定作業費や仕様に合わせた修正費用も含めて計算するとされている点も覚えておくと安心です。

担当・髙橋

実務でいちばん悩むのが「どこまでが機能(ソフトウェア)部分か」の切り分けです。
たとえば“お問い合わせフォーム”くらいなら機能と呼ぶほどではない、と判断されることが多い一方、本格的なECや会員サイトは明確に機能部分があります。見積書で「デザイン費」と「システム開発費」が分かれているかは、後の経理処理でも効いてきます。
発注前に内訳を分けてもらうよう頼んでおくと、税理士さんも判断しやすくなります。

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制作費とランニング費で税務の扱いは違う?

結論として、最初の「制作費(初期費用)」と、公開後に毎月・毎年かかる「ランニング費(維持費)」は、税務上の扱いが分かれます。 減価償却が論点になるのはあくまで前者、しかも制作費が資産計上された場合に限られます。

ホームページにまつわるお金は、ざっくり次のように整理できます。

費目内容一般的な扱いのイメージ
制作費(初期)デザイン・コーディング等のPR部分原則、支出時の経費
制作費(初期)うち機能部分EC・会員機能などのプログラムソフトウェアとして資産計上・減価償却(原則5年)になりうる
ドメイン・サーバー代毎年・毎月かかる利用料その期間の経費(通信費など)
保守・更新費月額の管理・更新代行役務の対価としてその都度の経費

※費目の区分・勘定科目は事案により異なります。
仕訳の詳細は勘定科目の記事をご参照ください。

ポイントは、サーバー代や保守費といった「使い続けるために毎期かかる費用」は、減価償却の対象ではなく、その都度の経費になるのが通常、ということ。
減価償却で何年も悩むのは、あくまで「機能を持つサイトを資産計上したとき」の話だと整理しておくと、混乱しにくくなります。

公開後に毎月かかる維持費そのものの内訳と相場は、ホームページの維持費はいくら?でくわしく解説しています。
費用全体の相場感はホームページ制作の費用相場ガイドもあわせてご覧ください。

減価償却で注意したい点は?(Q&A削除・少額判定・税制改正・専門家確認)

結論として、税務のルールは年度で変わるうえ、判断の根拠だった国税庁の公式Q&Aも現在は削除されています。
だからこそ、最終判断は必ず税理士・所轄税務署に確認することが欠かせません。

注意したいポイントを、3つに絞って整理します。

①過去の公式Q&Aは現在削除されている

本記事で触れた「ホームページの制作費」に関する国税庁の旧Q&Aは、サイトのリニューアルに伴い現在は掲載されていません(削除済み)。
現行のNo.5461には、ソフトウェアの取得価額と耐用年数のみが載っています。

ただし、税務上の考え方(原則は支出時の経費、機能部分はソフトウェア5年)が変更されたという公式発表は見当たらず、実務でも従来の考え方を踏まえて判断するのが一般的です。
とはいえ「公式の明文がない」状態なので、自己判断は禁物です。

②金額が小さいと「少額判定」の特例が関わることも

仮に機能部分をソフトウェアとして資産計上すべきと判断された場合でも、その金額が少額なら、特例で早く費用化できる仕組みがあります。
あくまで参考として、主な金額基準を挙げておきます。

金額基準(取得価額)一般的な扱い
10万円未満事業に使った年に全額経費にできる
20万円未満3年間で均等償却を選択できる(一括償却資産)
40万円未満青色申告の中小企業者等は年間合計300万円まで全額経費にできる特例あり ※下記③参照

出典:国税庁タックスアンサー No.5403(少額の減価償却資産・一括償却資産)・No.5408(中小企業者等の少額減価償却資産の特例)

※これらは「資産計上すべきと判断された場合」に、その金額が少額かどうかを見る基準です。
原則どおり支出時に経費処理できるケースとは別の論点なので、混同しないようご注意ください。

③税制は年度で変わる

中小企業者等の少額減価償却資産の特例は、令和8年度税制改正で対象金額が「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げられました
この改正は令和8年4月1日以後に取得した資産から適用され、適用期限も令和11年3月31日まで延長されています(年間合計300万円までの上限は従来どおり)。
一方、上の表のNo.5408ページなど、公式情報の表記が改正前のまま残っている場合もあります。制度は毎年のように動くため、適用時は必ず最新の公式情報と公募・適用要件をご確認ください。

担当・髙橋

ここまで読んで「結局どうすれば?」と感じたら、それが正常な感覚です。
税務は事案ごとに答えが変わり、本来は素人が断定すべき領域ではありません。制作費の見積書を持って税理士に相談するのが、いちばんの近道です。
発注前に「経費か資産か」を意識して見積もりを分けておくと、相談もスムーズになります。
判断材料として、本記事や勘定科目の記事をお使いください。

まとめ:原則は経費、機能部分はソフトウェア5年が一般的

  • 一般的なPR・会社案内サイトの制作費は、原則として支出した年の経費にできると考えられている。
  • EC・会員機能などプログラム(機能)を含む部分は、ソフトウェアとして資産計上・減価償却になりうる。
  • ソフトウェアの耐用年数は原則5年(複写販売の原本・研究開発用は3年)。
  • ドメイン・サーバー代や保守費などのランニング費は、その都度の経費が通常で、減価償却の対象ではない。
  • 過去の公式Q&Aは削除済みで税制も年度で変わるため、最終判断は必ず税理士・所轄税務署に確認する。

経費か資産か、その境目は「見せるページか、動く機能か」。
この感覚さえつかんでおけば、税理士への相談もスムーズになります。
具体的な仕訳・勘定科目はホームページ制作費の勘定科目で、費用全体の相場は費用相場ガイドでご確認ください。

弊社では、見積書の段階から「PR部分」と「機能部分」を分けてご提示するなど、経理処理しやすい形でのご相談にも対応しています。
気になる点はお気軽にご相談ください

ホームページの減価償却に関するよくある質問(FAQ)

ホームページの制作費は、必ず減価償却が必要ですか?

必ずではありません。
会社案内やPR目的の一般的なホームページの制作費は、原則として支出した年の経費にできると考えられています。
減価償却が問題になるのは、主にEC・会員機能などのプログラム(機能)を含む部分です。
ただし金額や内容で判断が分かれるため、税理士にご確認ください。

ホームページの耐用年数は何年ですか?

ソフトウェアとして資産計上する機能部分については、原則「5年」が一般的な目安です(国税庁の現行基準では、複写販売の原本・研究開発用は3年、その他は5年)。
一般公開・宣伝用のホームページ機能は、通常「その他=5年」に該当すると考えられます。

ドメイン代やサーバー代も減価償却するのですか?

通常はしません。
ドメイン代・サーバー代・月額の保守費といった、使い続けるために毎期かかる費用は、その期間の経費(通信費・支払手数料など)として処理するのが一般的です。
減価償却は、機能を持つサイトを資産計上したときの論点です。
具体的な仕訳は勘定科目の記事をご覧ください。

参考:国税庁タックスアンサー No.5461(ソフトウエアの取得価額と耐用年数)/No.5403(少額の減価償却資産・一括償却資産)/No.5408(中小企業者等の少額減価償却資産の特例)/財務省「令和8年度税制改正の大綱」。税務の取扱いは年度・事案で変わるため、最新の公式情報および税理士・所轄税務署に必ずご確認ください。

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本記事の監修者
ホームページ制作担当の監修者・川人大展|ホームページ制作とSEO対策・Web集客の専門家

監修者|川人 大展

株式会社SORAQ|Webディレクター・SEOコンサルタント

ホームページ制作会社のWebディレクター・SEOコンサルタントとして、
中小企業のホームページ制作とSEO対策・Web集客の支援に従事。

「ホームページ制作担当」では、ホームページ制作やSEO対策、Web集客に関する記事を専門的な観点から監修し、最新の検索エンジン動向とWebマーケティングの実務を踏まえた、正確で信頼できる情報発信を支えています。

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