
ホームページが完成して請求書が届いた——そのとき経理担当の方がまず迷うのが、「この制作費、どの勘定科目で処理すればいいの?」という点です。
全額をその年の経費(損金)にできるのか、それとも資産として計上し、数年かけて少しずつ費用にしていくのか。
判断を誤ると、その期の利益や税額が変わってしまいます。
弊社にも発注後によくいただくご質問です。
結論から言うと、ホームページ制作費の扱いは「サイトの内容(中身)」と「金額」で変わります。
一般的な会社案内サイトなら広告宣伝費として全額その期の経費にできることが多い一方、ECサイトのように「システムとしての機能」を持つものはソフトウェアとして資産計上し、数年かけて減価償却するのが基本です。
本記事では、ホームページ制作費の勘定科目を「3つの区分」で整理し、ケース別・金額別の判断基準と、実際の仕訳例までを発注者・経理担当者の目線でまとめます。
なお税務の取扱いは個別事情で結論が変わるため、最終的な判断は必ず税理士・所轄税務署にご確認ください。
本記事は一般的な実務解説としてお読みいただければと思います。
- 勘定科目は内容で3区分「広告宣伝費・繰延資産・ソフトウェア」に分かれます。
- 一般的なPRサイトは広告宣伝費として一括経費にできるのが原則です。
- EC・予約など機能付きの部分はソフトウェア(耐用年数5年)で減価償却します。
- 金額の少額特例も判断材料(2026年4月から40万円未満に拡大)。最終判断は税理士確認が必須です。

執筆者|高橋 丈太郎
株式会社SORAQ|代表取締役
株式会社SORAQ代表取締役。「成果につながるホームページ制作」をテーマに、中小企業のホームページ制作とWeb集客を数多く支援してきました。
「ホームページ制作担当」では、制作現場で培った経験をもとに、中小企業の経営者・ご担当者がそのまま実践できるホームページ制作とWeb集客のノウハウを、わかりやすく執筆しています。
(詳しくは代表挨拶をご覧ください)
ホームページ制作費は経費?資産?
結論から言うと、「内容」と「金額」で経費(損金)にできるか、資産計上になるかが変わります。 一律に「ホームページ代だから広告費」とは決められません。
判断のおおもとになっているのが、国税庁が示していた「ホームページの制作費用について」(旧タックスアンサーNo.5461)という見解です。
ここでは、通常のホームページは会社や新製品のPRを目的とし、内容が頻繁に更新されるため、その制作費用は原則として支出時の損金(=その期の経費)として扱うのが相当とされていました。
つまり、よくある会社案内サイトのように「随時更新していく前提のもの」であれば、原則として作った年に全額を経費にできる、という考え方です。
一方で、次のような場合は資産として計上し、数年に分けて費用化(償却)することになります。
| サイトの性質 | おおまかな扱い |
|---|---|
| 通常のPRサイト(更新前提) | 原則その期の経費(広告宣伝費) |
| 1年を超えて更新しないもの | 使用期間に応じて償却(資産的) |
| 機能(システム)を持つもの | ソフトウェアとして減価償却 |
※上表は一般的な考え方の整理です。
実際の処理は金額・契約内容・機能の有無で変わります。
担当・髙橋弊社にも「ホームページ代は全部その年の経費でいいですよね?」というご質問をよくいただきます。
多くの会社案内サイトはそれで問題ないことが多いのですが、“ECや予約システムが付いている”だけで話が変わるのがこのテーマの難しいところ。
請求書の金額だけでなく「何を作ったか」をセットで経理担当者に伝えると、処理がスムーズです。
なお、ここで言う「数年かけて費用化する」具体的な計算(減価償却)の仕組みは、ホームページの減価償却の考え方で別途くわしく解説しています。
本記事は「どの勘定科目に振り分けるか」に絞ってお話しします。
ケース別の勘定科目はどう分ける?
結論として、ホームページ制作費の勘定科目は大きく「広告宣伝費」「繰延資産(長期前払費用)」「ソフトウェア」の3つに分かれます。 どれになるかは、サイトの目的と機能、そして更新の前提によって決まります。
まず全体像を表で押さえましょう。
| 勘定科目 | 当てはまるホームページ | 費用化のしかた |
|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 会社案内・事業紹介など簡易な情報発信。更新前提 | その期に全額を経費 |
| 繰延資産/長期前払費用 | 1年以上更新しないことが前提のもの | 使用期間に応じて償却(実務上5年が目安) |
| ソフトウェア(無形固定資産) | EC・予約・会員認証など機能を持つ部分 | 耐用年数5年で減価償却 |
※区分は機能の有無・更新頻度・契約内容で判断します。
金額按分が必要なケースもあります。
それぞれを具体的に見ていきます。
一般的なPRサイト=「広告宣伝費」で一括経費
会社概要や事業内容を紹介する、いわゆる“普通のホームページ”は「広告宣伝費」として、その期に全額を経費にできるのが原則です。
ポイントは「内容を更新していく前提か」という点。
PR目的で、ニュースやサービス情報を随時更新していくサイトは、その制作費が短期的な広告効果に対する支出とみなされ、支出した年の損金として扱われるのが一般的です。
多くの中小企業のコーポレートサイトは、この区分に当てはまります。
勘定科目は「広告宣伝費」のほか、会社の方針によって「支払手数料」「業務委託費」などで処理されることもあります。大切なのは科目名そのものより「全額その期の経費にできるか」という点です。
高額・長期利用で更新しない=「繰延資産」で償却
作ったあと1年以上ほとんど更新しないことが前提のホームページは、繰延資産(長期前払費用)として、使用期間に応じて償却(実務上は5年を目安とすることが多い)します。
旧タックスアンサーNo.5461でも、「内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合」は、その制作費用を使用期間に応じて償却するとされていました。
たとえば、一度作ったら何年もそのまま掲示しておくブランドサイトや、特定キャンペーンの恒久ページなどがイメージに近いものです。
この場合、支出した年に全額を経費にはできず、使用期間にわたって少しずつ費用化していきます。



正直なところ、「1年以上まったく更新しない会社サイト」は今どきあまり多くありません。
お知らせ1本でも更新すれば“更新している”と整理しやすいので、実務上は広告宣伝費で処理されるケースのほうが目立ちます。
とはいえ判断は税務署・税理士が個別に行うものなので、「自己流で全額経費」と決め打ちせず一度相談するのが安全です。
機能付き(EC・予約・会員等)=「ソフトウェア」で5年減価償却
ショッピングカート・予約・会員認証・受注管理・データベース連携など「システムとしての機能」を持つ部分は、ソフトウェア(無形固定資産)として資産計上し、耐用年数5年で減価償却します。
これが、ホームページの勘定科目で最も間違えやすいポイントです。
見た目はホームページでも、その中にプログラム(ソフトウェアの開発費用)が含まれるECサイトなどは、そのプログラム部分相当額を無形減価償却資産として扱うのが基本とされています。
法定耐用年数は、耐用年数省令により次のように整理できます。
| ソフトウェアの種類 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 複写して販売するための原本・研究開発用 | 3年 |
| その他のもの(一般のWeb・業務用) | 5年 |
※一般公開のホームページ・ECサイトは原則「その他=5年」に当たります。
具体的には、検索機能・チャットボット・ショッピングカート・予約フォーム・会員ログイン・受注管理といった機能を伴う部分が対象です。
単なる情報掲載のページと、これらの“動く機能”は、税務上は別ものとして区分して考える、と覚えておくとわかりやすいでしょう。


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金額でも変わる?(少額特例の早見)
結論として、制作費の金額によっては、本来資産計上すべきものでもその年に全額経費にできる「少額特例」があります。 ただし要件や金額ラインは年度ごとに改正される時限的な制度が含まれるため、適用前の確認が欠かせません。
代表的な金額ラインを整理します。
| 金額(取得価額) | 一般的に選べる処理 |
|---|---|
| 10万円未満 | 消耗品費等として支出時に全額経費(少額減価償却資産) |
| 20万円未満 | 一括償却資産として3年均等償却を選択可 |
| 30万円/40万円未満 | 青色申告の中小企業者等は取得時に全額経費算入可(年間合計300万円まで) |
※30万円未満の少額減価償却資産の特例は、令和8年度(2026年度)税制改正により、2026年4月1日以後に取得する資産から「40万円未満」に引き上げられました(2026年3月31日までに取得した資産は従来どおり30万円未満)。
あわせて対象法人の常時使用従業員数の要件が500人以下→400人以下に引き下げられ、適用期限は令和11年3月31日までとされています。
年間合計300万円の上限は変わりません。
最新は必ず公式の最新情報・税理士にご確認ください。
たとえば15万円程度の簡易なホームページであれば、機能の有無にかかわらず少額として支出時に経費処理できることが多く、実務上もシンプルです。
一方、ECサイトのように金額が大きく機能も伴うものは、原則どおりソフトウェアとして資産計上・減価償却となります。



少額特例は、いわば「金額が小さいものは細かく分けず、まとめて経費にしていいですよ」という事務簡素化のルールです。
文房具を1本ずつ資産計上しないのと同じ発想。ただし“小さいもの限定”の優遇なので、ラインを1円でも超えると原則どおりの処理に戻る点と、上のラインは年度で動く点だけ注意してください。
仕訳の具体例はどう書く?
結論として、仕訳は「広告宣伝費でその期に全額」か「ソフトウェアで資産計上→決算で減価償却」かに大きく分かれます。 代表的な3パターンを具体的な数字で見てみましょう。
なお金額は一般的な例示で、実際は自社の取引額・契約内容に置き換えてください。
例1:簡易HP 15万円(広告宣伝費)
更新前提のシンプルな会社案内サイトを15万円で制作し、普通預金から支払ったケースです。
少額かつ更新前提のため、その期に全額を経費にします。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 150,000 | 普通預金 | 150,000 |
これでこの取引は完結です。
資産計上も減価償却も不要で、最もシンプルなパターンといえます。
例2:ECサイト 200万円(ソフトウェア計上+期末の減価償却)
ショッピングカートなどの機能を持つECサイトを200万円で制作し、ソフトウェアとして資産計上するケースです。
10月に取得し、決算期末が翌3月(3月決算)とします。
取得時の仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア | 2,000,000 | 普通預金 | 2,000,000 |
決算時の仕訳(減価償却)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 200,000 | ソフトウェア | 200,000 |
計算は 2,000,000円 ÷ 5年 × 6か月/12か月 = 200,000円。
取得が期の途中(10月)なので、その期は使った月数分(10月〜翌3月の6か月)だけを償却する考え方(月割償却)です。
このように、資産計上したものは毎期少しずつ費用にしていきます。
償却の計算方法はホームページの減価償却でさらに掘り下げています。
例3:制作費にプログラムとデザインが混在する場合
実際のECサイトや機能付きサイトでは、1本の見積りに「システム開発(プログラム)」と「デザイン・コンテンツ制作」が混ざっていることがよくあります。
この場合は、プログラム相当額のみをソフトウェアに区分して資産計上し、残りのデザイン・コンテンツ部分は広告宣伝費等で処理するのが基本です。
| 区分 | 勘定科目 |
|---|---|
| システム開発(プログラム)部分 | ソフトウェア(5年償却) |
| デザイン・コンテンツ部分 | 広告宣伝費等 |
そのため、機能を含む発注では見積書を「機能(開発)」と「デザイン・原稿」で分けて出してもらうと、後の経理処理がぐっと楽になります。
金額按分の根拠が見積書に残るからです。
見積書の読み方そのものは見積書の見方も参考にしてください。
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注意点は?(一概に言えない・税理士確認を推奨)
結論として、ここまでの内容は「一般的な取扱い」であり、最終判断は必ず税理士・所轄税務署に確認してください。 税務の世界は、同じ金額でも事実関係しだいで結論が変わります。
とくに次の3点には注意が必要です。
①一次情報が削除されている
判断のもとになっている旧タックスアンサーNo.5461「ホームページの制作費用について」は、国税庁サイトのリニューアルに伴い掲載が削除され、現在のNo.5461は「ソフトウエアの取得価額と耐用年数」の内容に置き換わっています。
税務専門誌の取材確認によれば法人税上の取扱い自体は当時のままとされていますが、一次情報が手元で確認しづらい状態である以上、自己判断で押し切らず専門家に確認するのが安全です。
②少額特例は“時限措置”で毎年変わりうる
少額減価償却資産の特例(取得価額の上限が30万円→40万円に拡大)などは、租税特別措置法に基づく時限的な制度です。
適用期限の延長を重ねており、金額ライン・対象となる法人(中小企業者等)・従業員数の要件・上限額(年間合計300万円など)も年度ごとに確認が必要です。
「去年はこうだった」が今年も同じとは限りません。
③機能の有無・更新頻度・按分で結論が動く
同じ「ホームページ制作費」でも、機能を含むか、更新を続けるか、金額をどう按分するかで、広告宣伝費・繰延資産・ソフトウェアのどれになるかが変わります。
サイトの中身を正確に整理したうえで判断する必要があります。



制作会社である弊社は、税務の最終判断をする立場にはありません。
ただ、お客様の経理がスムーズになるよう「どの部分が機能(開発)で、どの部分がデザイン・原稿か」を見積書で分けて示すことはできます。
経理処理で迷ったら、その見積書を持って顧問税理士に相談していただくのが、いちばん確実で早い道です。
まとめ
- ホームページ制作費は「内容」と「金額」で経費(損金)か資産計上かが変わる。
- 勘定科目は3区分「広告宣伝費(一括経費)/繰延資産(使用期間で償却・実務上5年が目安)/ソフトウェア(5年減価償却)」。
- 一般的なPRサイトは広告宣伝費で一括経費、EC・予約など機能付き部分はソフトウェアで減価償却が原則。
- 金額が小さければ少額特例(10万・20万・30万/40万円のライン)で一括経費にできる場合がある。
- 一次情報(旧No.5461)は差し替え済み、少額特例は時限措置のため、最終判断は必ず税理士・所轄税務署に確認する。
ホームページの制作費は「全部その年の経費」で済むこともあれば、資産として数年かけて費用化することもあります。
迷ったら、サイトの中身(機能の有無)と金額を整理したうえで、専門家に確認するのが確実です。
発注前の費用感を整理したい方は、種別×規模の相場をまとめたホームページ制作費用の相場ガイドもあわせてご覧ください。
具体的なお見積りはお問い合わせからどうぞ。
ホームページ制作費の勘定科目に関するよくある質問
- ホームページ制作費は全額その年の経費にできますか?
-
一般的なPR目的で更新前提のホームページなら、原則として広告宣伝費でその期に全額経費にできることが多いです。
ただしEC・予約などの機能を含む部分はソフトウェアとして資産計上・減価償却が必要になります。
金額や機能で扱いが変わるため、最終判断は税理士にご確認ください。 - ECサイトはなぜ資産計上が必要なのですか?
-
ショッピングカートや受注管理など、制作費の中に「プログラム(ソフトウェアの開発費用)」が含まれるためです。
このプログラム部分は無形減価償却資産(ソフトウェア)に当たり、一般のWeb・業務用は法定耐用年数5年で減価償却するのが基本とされています。 - 30万円未満なら全額経費にできると聞きましたが本当ですか?
-
青色申告の中小企業者等であれば、少額減価償却資産の特例で取得時に全額経費算入できる場合があります(年間合計300万円が上限)。
なお令和8年度税制改正により、2026年4月1日以後に取得する資産はこのラインが40万円未満に引き上げられました(同年3月31日までは30万円未満)。
租税特別措置法の時限措置で適用期限・対象・上限額が年度ごとに変わるため、適用前に必ず公式の最新情報や税理士でご確認ください。
参考
- 国税庁 タックスアンサーNo.5461「ソフトウエアの取得価額と耐用年数」(旧「ホームページの制作費用について」は掲載差し替え/週刊T&Amaster取材による取扱い確認)
- 耐用年数省令(ソフトウェアの法定耐用年数:3年・5年)
- 国税庁 No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」/財務省 令和8年度税制改正の大綱(少額減価償却資産の特例)
- マネーフォワード クラウド/freee/その他税務実務解説
※本記事は2026年6月時点の一般的な税務上の取扱い・実務解説をまとめたものです。
制度は改正される場合があり、個別の処理は事実関係で結論が変わります。
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監修者|川人 大展
株式会社SORAQ|Webディレクター・SEOコンサルタント
ホームページ制作会社のWebディレクター・SEOコンサルタントとして、
中小企業のホームページ制作とSEO対策・Web集客の支援に従事。
「ホームページ制作担当」では、ホームページ制作やSEO対策、Web集客に関する記事を専門的な観点から監修し、最新の検索エンジン動向とWebマーケティングの実務を踏まえた、正確で信頼できる情報発信を支えています。
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